町亞聖さんがおススメする、
辛いとき「勇気」をくれる10冊

2016年8月24日


Photo: By:dalobeee

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日本テレビにアナウンサーとして入社し、その後報道記者を経てフリーになった町亞星さん。
10年間にわたる母の介護経験から、医療をテーマにした取材活動を続けているようです。
そんな彼女が選ぶ10冊は辛いときに前向きになれる勇気がもらえる本たちです。

町亞星さんが選ぶ勇気をくれる10冊

『病めるときも』 三浦綾子

神様は背負いきれない荷物を背負わせない

順風に見えた人生。その歯車が、とあることをきっかけに狂い始める。次から次へと降りかかる不幸に、もがき苦しみながらも進もうとする人たちの物語。

初版は20年前。キリスト教の教えをベースに人の弱さ、醜さに救済を与えることがテーマとなっている1冊。

表題作の「病めるときも」では、生涯を誓った伴侶が重度の精神病を患ってしまった女性が主人公。安易に離婚に走ることなく、
すべてを受け入れた上で結婚が成り立つことを読者に語りかける。困難を乗り越えたところにある真実の愛について考えさせられます。

  • 三浦綾子(みうら・あやこ)
  • 作家、小説家、エッセイスト。1922年 北海道旭川市生まれ。
  • 17歳からの7年間小学校教師として軍国教育に献身。戦後に罪悪感と絶望を抱いて退職。
  • 結核を患い13年間の療養生活の後、キリスト教の洗礼を受ける。
  • 1959年、三浦光世と結婚。1964年「氷点」が朝日新聞懸賞小説に入選。作家活動に入る。
  • キリスト教の視点から「愛とは何か」を問うた作品を発表し続ける。
  • 「塩狩峠」「銃口」「道ありき」など多くの小説・エッセイを発表。1999年逝去。

『幸福』 向田邦子

人間って、肝心のときに言いたいことが言葉にならない

人は地位や名誉やポジションで幸せになるわけじゃない。
ちっぽけな希望の光、こぼれ落ちそうな気持ちの機微。下町で懸命に生きる人たちの群像劇。

兄の婚約者と、ただ一度過ちを犯してしまった青年。そんな青年を憎む兄。青年を慕う婚約者の妹。婚約者を見守る中年男…
さまざまな愛がお互いにからみ、もつれ、傷つけ合う。本当の「幸福」とは何なのかを問いかける、男と女の愛と人間のドラマ。

  • 向田邦子(むこうだ・くにこ)
  • 1929年東京生まれ。実践女子専門学校(現・実践時女子大学)卒業後、テレビ業界へ。「寺内貫太郎一家」「阿修羅のごとく」など数多くの脚本を執筆。
  • 1980年、「花の名前」(「思い出のトランプ」収録)他2作で直木賞受賞。著書に「父の詫び状」「男どき女どき」など。
  • 1981年8月22日、台湾旅行中、飛行機事故で死去。

『沈まぬ太陽』 山崎豊子

組織の中では「非常識」が常識となる

御巣鷹山のジャンボ機墜落事故の悲劇。しかしそれを契機として浮き彫りになったのは、航空会社の腐敗と隠ぺい体質。航空会社という巨大な相手に立ち向かう男たちを描く。

巨大な組織の中では「非常識」が「常識」となっていく。組織に巻き込まれた個人が、どう挑んでいくのか。
取材を元に描かれたリアリティある描写が力強く、読者としても立ち向かう気持ちにさせる。

  • 山崎豊子(やまさき・とよこ)
  • 1924年大阪生まれ。毎日新聞大阪本社学芸部勤務。当時学芸部副部長だった井上靖のもとで記者として鍛えられる。
  • 1958年「花のれん」で直木賞受賞。1963年「白い巨塔」、「不毛地帯」「二つの祖国」「大地の子」は戦争三部作として知られる。
  • 鋭い社会性あるテーマで作品を発表し続けている。

『いのちなりけり』 葉室麟

命が今よりも軽く扱われ、好きな人と一緒になることが難しい時代に、一途に一人の人を想い続ける強さに感動しました。

「あなたの好きな和歌はなんですか?」
前夫が嗜んだ和歌を、再婚相手にも尋ねる武士の娘。
好きな歌を答えないうちは夫婦の契りを交わさないという。
試すような娘の態度に、男は適当な歌を口にするようなことをしない。
時間をかけて見つけようとするうちに、藩の世継ぎから娘の父の暗殺を命じられる…

人の命がいまよりも軽んじられていた時代、一組の夫婦が貫いた思いはそんな時代にそぐわない一途な想い。
人が人を想う気持ちを再確認し、感動させられる1冊。

  • 葉室麟(はむろ・りん)
  • 1951年北九州市小倉生まれ。地方記者などを経て、2005年作家デビュー。2012年「蜩ノ記」で直木賞受賞。「地方の視点から歴史を描く」をモットーに精力的に執筆中。

『龍は眠る』 宮部みゆき

不思議な能力をもつ若者をめぐり、本書は人を信じるということを問いかけます

宮部みゆき初期の作品。人の心が読めてしまう超能力を持つ若者の孤独と苦悩。人を信じるとは何かが問われる。

  • 宮部みゆき(みやべ・みゆき)
  • 1960年東京・深川育ち。法律事務所勤務を経てオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。時代物、法廷もの、ミステリーなど幅広いジャンルで作品を発表している。

『破線のマリス』 野沢尚

「自分は絶対過ちをおかさない」という思い込みは危険だと諭されました

ニュース報道を恣意的に操作したTV編集者。彼女が知らず知らずのうちに自らの罠にはまっていく。

事実は編集することによって、本来の意味とは違う意味にみせかけることができる。
マスメディアが事実を編集する場合、情報を操作することではじまる暴走は、止めることができない勢いで世に広まる。
そのことをひとりの人間にあてはめた場合見えてくるのは、想いを「伝える」ことの難しさ。
自分は間違っていないと思い込んでいないかどうか、
客観的な視点で捉えることが大切だと気づかされる。

  • 野沢尚(のざわ・ひさし)
  • 1960年愛知県生まれ。1985年テレビドラマ「殺して、あなた」で脚本家デビュー。1997年テレビ業界を舞台にした「破線のマリス」で第43回江戸川乱歩賞受賞。2004年「夢はいっぱいあるけど、失礼します」と遺書を残し自死。

『半落ち』 横山秀夫

父が亡くなった直後に観たこともあり、妙に親近感が湧いた覚えがあります

「私、梶聡一郎は、3日前、妻の啓子を、自宅で首を絞めて、殺しました」
妻殺しを自供した男が、決して語らない自首まで「空白の二日間」。そのとき何があったのか?生きる意味を考えさせられるミステリー。

生きる意味とはなんなのだろう?誰かのためになるならば、誰かを救えるものを自分がもっているならば、
生きれる時までは生き続けようという気持ちにさせられる。

  • 横山秀夫(よこよま・ひでお)
  • 1957年東京生まれ。上毛新聞社での12年間の記者生活後、作家に。2000年、「動機」で日本推理作家協会賞受賞。現在最も注目されるミステリ作家のひとり。

『空飛ぶタイヤ』 池井戸潤

死傷事故をめぐり、大企業の隠蔽体質を暴いた逸話がリアルな骨太の小説です

大企業の隠蔽体質を見事に暴く池井戸ワールド全開。

  • 池井戸潤(いけいど・じゅん)
  • 1963年岐阜生まれ。銀行勤務の経験を活かし、1998年「果つる底なき」で江戸川乱歩賞受賞。「半沢直樹」シリーズ、「下町ロケット」など一般企業を舞台にした作品が多い。

『中原の虹』 浅田次郎

リーダーとしても男としてもこんなに魅力的な人物はない

繁栄の終焉を迎えつつある清王朝の時代に新しく現れた英雄たちの物語。

  • 浅田次郎(あさだ・じろう)
  • 1951年東京生まれ。自衛隊に入隊後、アパレル業界など様々な職を経て1995年「地下鉄(メトロ)に乗って」で吉川英治文学新人賞受賞 「鉄道員(ぽっぽや)」「壬生義士伝」など受賞作多数。

『風紋』 乃南アサ

見落としがちな事件の『その後』を描いた重厚な小説です

犯罪被害者に限定して言えば、事件の加害者となった人間以外はすべて、被害者になってしまうのではないかと、私はそんなふうに考えている。そして、その爆風とも言える影響が、果たしてどこまで広がるものか、どのように人の人生を狂わすものかを考えたかった

乃南アサ
風紋/amazon.jp

ごく普通の家族の上に突如ふりかかった一つの殺人事件。加害者と被害者だけでなく、
事件は被害者の遺族や加害者の家族をも世間の目にさらし、それぞれの人生を狂わせていく。
人間は一人ではなく、必ずなにかしらのつながりをもつということを考えさせられる。

  • 乃南アサ(のなみ・あさ)
  • 1960(昭和35)年、東京生れ。早稲田大学中退後、広告代理店勤務などを経て、作家活動に入る。巧みな人物造形、心理描写が高く評価されている。

10冊のまとめ

どれも「ひとのため」に尽くす人たちが出てくる

人生にはいいときもあれば孤独で辛いときもある。順風満帆とはいきません。
そんなときに、一声かけてくれるような本が私を支えてくれた本でしたと町亞星さんは言います。

物語からなにを読み取って、自分の人生にどう生かすか。
それこそ「破線のマリス」のテーマのように、自分のためになるような読み取り方が大切なのかもしれません。

参照:辛いときに「勇気」をくれたもの〜フリーアナ・町亞聖が選ぶ「人生最高の10冊」

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