「未来のミライ」細田守監督が影響を受けた、あんなアニメこんな映画

「時をかける少女」「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」「バケモノの子」と、家族を描き続けている監督・細田守。

最新作「未来のミライ」は4歳の少年くんちゃんが家族のルーツと出会う話でしたね。

現代の家族のあり方をテーマにする細田監督に影響を与えた作品はなんだったのか?
彼のインタビューとともにまとめてみました。

記事中アイコン矢印つき

アニメ監督になるきっかけとなった1979年

最初に、細田監督がアニメ監督になるきっかけとなった年があります。
それが1979年。

この年は、アニメの世界では革命的な年と呼ばれているそうです。

アニメの世界だと1979年っていうすごく革命的な年があって、
4月にテレビアニメ「機動戦士ガンダム」が始まって、
夏に劇場アニメ「銀河鉄道999」、秋に劇場アニメ「エースをねらえ!」、
冬に劇場アニメ「ルパン三世 カリオストロの城」があった

記事中アイコン

もっとも好きな作品「赤毛のアン」

1979年に始まったアニメの中でも、高畑勲監督作「赤毛のアン」は特別だと語っています。

歴史上の全テレビアニメのなかでいちばん好き

性善説に基づき、立場や年齢など認識による違いはあっても、悪意による悪さは基本的に存在しないという世界観の物語の中で、高畑勲の「赤毛のアン」は、世界は優しくても超クールな視点で冷静に描いていると評されています。

そんなわかりやすい人物描写をしていない「赤毛のアン」に細田守監督は、「見直すたびに受ける印象が全然違う」と言います。

昔は分からなかったことが今は分かるようになった自分にも誇らしくなるというのかな。この内容が分かるくらい大人になった、映画を鑑賞する力がついた、そういうふうにして作品とともに一生楽しめる。そういう作品があるってすごく幸せだと思う

作品自体の良し悪しもありますが、観ている側の力量も大切なんですね。

記事中アイコン

渋い子どもを描いている映画10本

『おおかみこどもの雨と雪』は、子育てと子どもたちの自立を描いた作品。そんな『おおかみこどもの雨と雪』に影響を与えたかもしれない、子どもが子どもじゃない瞬間を垣間見せる作品を細田守監督がセレクトした10本です。

イザベルにグッときた『ミツバチのささやき』

僕が注目したいのは、主人公アナではなく、姉のイザベルです。アナよりも現実的で、しかも妙な色気がある。黒猫の首を締めるシーンで、彼女がネコに引っ掻かれて出た血をなめる仕草にグッときました。この子はすでに何かをつかんでいると(笑)

アナのかわいらしさが語れることの多い『ミツバチのささやき』ですが、「実は妹のイザベルがいてこそのアナである」と細田監督は言います。ネコの首を締めるという行為で、”擬似的な死”を体感し、現実に鋭く向き合うイザベルはとても魅力的です。
そんな姉妹の、それぞれの成長の対比は、『おおかみこどもの雨と雪』にも通じる部分だそうです。

1940年代、スペイン内戦後の小さな村。6歳のアナと9歳のイザベラが体験する現実と空想が交錯した世界を、スペインの名称ビクトル・エリセが描く。

おっ!?と思った『リトル・ダンサー』

僕自身、子どもを主人公にした作品を多く作っていますけど、一般の映画における子どもって、ある種カリカチュアライズ(戯画化)されているというか、“道具”として描かれることが比較的多いと思うんです。でもこの『リトル・ダンサー』は、子どもの有りようや子ども世界の切り口が他と違ったので、おっと思いました。

主人公ビリー以外にも、周りの子どもたちも、可愛いだけではなく炭鉱がなくなるかもしれないという時代のしんどい中で生きている感じが良かったと語ります。ビリーの親友でオカマのマイケルの良い味出している感じは注目すべき、とのことで、細田監督の子どもに対する見方がわかります。

1984年、イギリス北部の町は炭鉱ストライキに揺れていた。無口で無骨な父親の猛反対を受けながらも、バレエダンサーをひたむきに目指す少年を描いた感動映画。

清々しい狂気『台風クラブ』

80年代に青春時代を過ごした者としては重要な作品。10代って、あふれ出る何かをおさえて日々を生きていますよね。それが大雨の中、子どもたちだけの世界で隠された人間性がぐっと顔を出すっていうのは、みんなが共通してもっているものなんじゃないかな。

相米慎二作品は子どもたちが狂気に走る作品が多いと語る細田監督。その中でも、台風クラブの中学生たちが走る狂気は、すごく爽やかなのが素晴らしいとのこと。台風一過のすがすがしさが、ドロドロしたものが噴出したとしても、後味の良い読後感を残すようです。

東京近郊に台風が接近。感情を異様に高ぶらせて行く中学生たちを描いた作品。監督は相米慎二。

子どもだけの見る世界『ベルリン・天使の詩』

お母さんの自転車の前と後ろに乗っている子どもが見上げた先に天使がいるとか、部屋で動物のフィギュアを並べてる足の不自由な男の子が窓の外に天使を見るとか、あぁ、どんな子どもでも大人が決して見ることのできないものを見ている瞬間があるんだなっていうのをすごく感じました。でも同時に、大人は子どもには戻れないんだという痛切なメッセージも感じましたね。

ブルーノ・ガンツ演じる天使を見ることができるのは”子ども”だけ。子どもにしか見れない世界の尊さを描くと同時に、大人もう過去に戻ることはできないことをまっすぐ突きつける作品。
子どもと大人の対比を感じ取ることができます。

東西統一前のドイツ・ベルリン。人々を見守っていた天使だ見えるが、人間の女性に恋をするファンタジックラブストーリー。

硬派なダメ女の子『ウェルカム・ドールハウス』

主人公ドーンは本当に救いがたい女の子なんだけど、ダメっぷりの心地よさがかわいいんですよね。原恵一監督の『カラフル』で宮﨑あおいさんが演じたメガネ姿の唱子にも似たようなところがありましたが、表面的なかわいさではなく、何回かひっくり返ると見えてくる魅力がある。

主人公のドーンは、10代の女子がもついじらしさとか可愛らしさを表現しない。イラっとする態度が、硬派でダメな女の子そのもの。だからこそ生まれる”渋さ”という点を評価したいと、細田監督は語ります。

分厚いメガネにダサファッション。そんなスタイルの少女ドーンの日常を描いたブラックコメディ。1996年サンダンス映画祭で審査員大賞を受賞。


記事中アイコン

アニメ演出時代も映画を演出しているつもりで

いろいろな映画や作品に影響を受けている細田監督。アニメ演出を始めたのは29歳の頃と、アニメ業界では遅咲きでした。

しかし、テレビアニメを作っている頃から映画を作るつもりで演出をしていたと言います。

東映動画にいた頃は、座付きの演出家なわけですから、要するに、職務的な依頼をこなすことが多かった。ただ今振り返ってみると、作品に“自分”の表現が出てしまっていることが多かったかもしれないですね。『デジモン』みたいな短編映画を作っていた時も、『おジャ魔女どれみドッカ~ン!』みたいなTVアニメの1本作っている時も、映画を作っているつもりで創作してました

記事中アイコン

こだわりは師匠に言われた一言から

映画作りを続ける細田守監督ですが、映画作りにこだわる理由は師匠に言われたある言葉だと言います。

僕の師匠の角田紘一さんという、宮崎駿さんと同期のアニメーターの人がいて、その人からずっと『お前、TVアニメじゃなくて、劇場版こそがアニメなんだから映画をやれ』と言われていたんです。『映画をやらなきゃ、この仕事をやっている意味がないんだ』と、洗脳みたいなものをさんざん受けていまして(笑)。でもこの師匠の言葉が、僕が映画を作ることにこだわる大きなきっかけになりました

映画作品で影響を与える人が、影響を受けたルーツ。そんなものを辿るのもおもしろいものです。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Twitter で

PAGE TOP